千葉県唯一の酒造好適米を追い求めて~いすみ市の生産者・座間さんを訪ねました
前回の記事では、千葉県富津市の名門「和蔵酒造」を訪問し、その歴史と酒造りへの情熱をお伝えしました。今回は和蔵酒造の主力商品に使われている千葉県唯一の酒造好適米「総の舞(ふさのまい)」の生産現場を見学すべく、いすみ市の農家・座間さんを訪問しました。
美しい谷津田で育まれる「総の舞」

「総の舞」生産者 座間さんインタビュー
——「総の舞」はどんな特徴のあるお米なんでしょうか?
「見た目は、普通のコシヒカリとほとんど変わらないですよ。収穫時期も同じ8月頃だし、背丈もそんなに高くないです。酒米っていうと、もっと背の高い稲をイメージする方も多いと思うんですけど、“総の舞”はちょっと違うんです。」
——栽培の難しさなどはありますか?
「特に難しいことはないですね。コシヒカリと同じ感覚で育てられるし、扱いやすい米ですよ。」
——「総の舞」はどんな背景で生まれた品種なんでしょうか?
「実は、千葉って酒蔵がたくさんある県なんですが、長い間“千葉県独自の酒米”っていうのがなかったんです。そのため、どの蔵も他県から酒米を取り寄せるしかなくて、コストもかかるし、安定供給も難しかった。そうした課題を解決するために、県の農業総合研究センターと工業試験場が協力して開発したのが“総の舞”なんです。」
1993年に開発が始まり、2000年に品種登録。翌年から本格的な栽培がスタートした「総の舞」は、まだ比較的新しい酒米です。
地域に根ざした酒造りを支えるために生まれた、千葉県産の酒米。そこには、生産者の思いと、地元への誇りが詰まっています。
思いが詰まった酒米づくり

——「総の舞」を育てている農家さんは多いんでしょうか?
「実は少ないんですよ。農家が販売する価格は、普通の飯米より安いんです。だから、経済的に考えると、育てるメリットが少ないと思われがちなんです」
——いすみ市でも限られた農家さんしか育てていないとか?
「そうですね。うちの地域でも“総の舞”を作っているのは本当に数えるほどです。やっぱり、高く売れる飯米のほうが育てる人は多いですね」
——昨年は不作で価格も上がったと聞きました。
「ええ。去年みたいに不作になると、米の価格が上がるので、酒蔵にとっては仕入れが厳しくなるんですよ。でも、それでも“この米を使いたい”って言ってくれる蔵がある。だから、やっぱり作り続けたいって思うんです」
——そんな中で、なぜ座間さんは「総の舞」を作り続けているんでしょうか?
「やっぱり、自分の育てたお米が“お酒になる”って、すごくうれしいことなんです。それに、酒蔵さんたちのためにもなれば、という思いもあります」
自らの手で育てた米が日本酒となって人々に楽しまれる――。
座間さんにとって「総の舞」の栽培は、単なる農作業ではなく、酒蔵との信頼関係や、日本酒文化への貢献という誇りに満ちた営みなのだと今回の訪問で実感しました。

お伺いしたのは4月の上旬。全国有数の早場米の産地でもあるいすみエリアでは、そろそろ田植えが始まるとのことで、田んぼには水が引かれていて、田植えを待つばかりになっていました。
「総の舞」の特徴と系譜

今回の訪問では、偶然にも県の農業総合研究センターから「総の舞」の生みの親である開発担当の研究員さんも同席。「お酒にするととても美味しく個性もあるお米なので、もっと世間に広めたい」と熱く語っていました。
「総の舞」の特徴
- 心白の形がよく、高精米が可能
- 倒れにくく寒さにも強い品種
- 造られた日本酒は独特の香りとふくよかな味わいが特徴
- 適度なキレも持ち合わせている
日本の稲の歴史を感じる系譜
体験の後は、お待ちかねの試飲タイムです!
「総の舞」の系譜は日本の稲の交配の歴史を感じさせる興味深いものです。
- 母方:「白妙錦(しろたえにしき)」(酒造好適米)
- 祖先に玉栄、雄町、神力などの名高い酒米を持つ
- 父方:「中部72号」(飯米)
- 祖先にコシヒカリという飯米の王様を持つ
著名な酒米と飯米の王様の血を引く、まさに日本の米づくりの歴史が凝縮された品種といえるでしょう。
【GW日本酒イベント情報】和蔵酒造フェア&蔵元BARナイト開催!

4月26日(土)~5月6日(火・祝)の期間中「和蔵酒造」 の魅力を堪能できるイベント『和蔵酒造フェア』を開催いたします。
4月29日(火・祝)には、和蔵酒造の蔵元・池田亨さんをお迎えし、特別イベント「第2回 蔵元BARナイト」を実施!
<和蔵酒造フェア 実施期間>
2025年4月26日(土)~5/6(火・祝)
29日火・祝は和蔵酒造の蔵元、池田 亨さんをお招きして「第二回蔵元 BARナイト」を実施。
※蔵元の池田 亨さんは16時頃~来店
<参加方法>
予約なしでご参加いただけます。通りがかりのお客様も、どうぞお気軽にご参加ください。
<フェア期間 限定物販品>
日本酒瓶720ml(6種)
<フェア期間 限定提供メニュー>
フェア限定提供 日本酒 4種 1杯650円~(+定番酒 2種)
限定 おつまみ3種盛り 800円
和蔵酒造の本日のおすすめ日本酒3種「 飲み比べセット」1,000円
大人のための贅沢な時間を楽しみたい方、GW中に大人向けのグルメイベントをお探しの方、そして日本酒の世界をもっと深く知りたい方——
そんな方にぴったりのイベントです。
ぜひこの機会をお見逃しなく!
※ボトルのご購入は、飲食のご利用がなくても可能です。
※当日は立ち飲み席もご用意しております。カウンター席が満席の場合は、立ち飲み席へのご案内となります。
※ボトルや提供する日本酒、おつまみは売り切れる場合がございます。予めご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
※店内の混雑状況により、ご利用時間を制限させていただく場合がございます。予めご了承ください。

一献風月 横浜店(FOOD&TIMES ISETAN YOKOHAMA店)
神奈川県横浜市西区南幸1丁目5-1 新相鉄ビル
ジョイナス 地下1階 FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA CAFÉ & DELI PLAZA
営業時間:ランチ 10:00~17:00(L.O.16:30)/ ディナー 17:00~23:00(L.O.22:30)
アクセス:JR東海道・京浜東北・横須賀・横浜線/東急東横線/相模鉄道/市営地下鉄
横浜駅より徒歩1分
電話番号:045-900-3658